phone rang 067
pr_067
電話だけではない。普段は気にもとめないテーブルの脚や、数字キーの印字がかすれたように剥げ掛かっているテレビのリモコン、床材の艶やカーテンのたわみ、壁紙に浮かぶ複雑に屈折した影などの細部が、それぞれ無言で作用し合い、ひしめき合うようにして、この部屋を支えていた。この空間から逃れることは、いまや困難な気がしていた。 次へ
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