phone rang 038
pr_038
暗闇では、自分自身がすでに暗箱の中にあるのであり、自分の目が絞りのついたレンズのように機能している感じがした。暗闇と同化し、紛れ、見えない人間になったかのようだった。僕はカメラの中にいて、シャッター機構や跳ね上げ式ミラーや増感設定のフィルムが協調し、自分の体の一部のように振舞っているように感じていた。目は条件反射的に、暗がりの中にある僅かな光を探していて、僕は、そこに何かが見えてくるのを待った。 次へ
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